ホログラム

コンピュータのチップには、1000万個以上の素子が、ナノメートルの大きさで加工されています。工場では半導体ウェハに、配線パターンの像を投影することで加工しています。この方法はフォトリソグラフィと呼ばれ、より短い波長の光で投影することで、電子回路の微細化を実現してきました。

配線パターンを半導体ウェハに転写する装置はステッパと呼ばれています。レチクルに配線パターンが加工されており、それを多数のレンズやミラーでウェハに投影します。

紫外線など、短い波長の光を使うことで、より小さな配線パターンを投影できますが、その方法も限界になりつつあります。

  • これ以上短い光はレンズを透過せず、代わりにミラーが必要。ミラーが作る像は非常に暗く、像の縮小率も低い。
  • レチクルにわずかな塵埃が付着しただけで、投影される配線が断線・ショートしてしまう。(清浄度を上げる大がかりな設備が必要)

ホログラムを使って像を投影できれば、レンズもミラーも必要なくなります。ホログラム表面の塵埃が、像に悪影響を及ぼすこともありません。

この研究室では、微細な像をレンズ・ミラーなしに直接投影できるホログラム「準結晶ホログラム」「フォトンシーブホログラム」を開発しています。ひし形や円を組み合わせた基盤図形からホログラムパターンを設計し、ガラスに加工して光を照射すると、微細な像が現れます。